パレスチナ自治区のベツレヘムに、「世界最悪の眺め」を誇るブティックホテルが登場。
手がけたのは落書き風の壁画で知られる神出鬼没のアーティスト、「Banksy（バンクシー）」。
その話題となったホテル「The Walled Off Hotel（ウォールド・オフ・ホテル）」は、正体不明のアーティスト、バンクシーが初めて設計を手がけ、資金も提供して1年2カ月前から建設を進めていたんだとか。
Banksy（バンクシー）という人物
イギリスのロンドンを中心に活動する覆面芸術家。
社会風刺的グラフィティアート、ストリートアートを世界各地にゲリラ的に描くという手法を取る。
街中の壁にステンシル（型紙）を使って反資本主義・反権力など政治色の強いグラフィティを残している。
自らの作品を無許可で展示するなどのパフォーマンスにより、一部の人々からは”芸術のテロリスト”と呼ばれています。
街頭などへのディスプレイにこだわって芸術活動を行っており、企業の商品とのコラボレートやミュージシャンのアルバムジャケットの依頼等はほとんど全て断っているんだとか。
（ウィキペディアより）
無言の壁が訴えていることとは
客室はスイートを含めて9室。
プレジデンシャルスイートはミニシアターや書斎、バー、ジャクジー付き。
しかし、驚くのがほぼ全客室の窓からは、コンクリート製の壁が立ち塞がっていること。
客室のベッドの上には枕で戦うイスラエル兵と覆面姿のパレスチナ人。
ハンティングのトロフィーを並べたかのような監視カメラの放列を配した壁。
ピアノの上には生命維持装置を着けた天使が舞っている姿が描かれています。
ジャクジーに水を供給する貯水槽は弾痕だらけに見えたり、宿泊客がコンクリートの壁に囲まれているように感じさせる部屋や、兵舎を模して靴入れ付きの2段ベッドを配した部屋もあります。
このように重いテーマにしたのには理由があります。
バンクシー流、ブラック・ユーモアとでも言える、訪問者自身も学び、訪問者間の対話を促すような仕掛けがあるんだとか。
「ここにある作品は、パレスチナのコミュニティと彼らの闘争のために寄付した」
「盗み出したり、ホテルの所有物を破損しようとする者は逮捕され、ラマラ警察に身柄を移され、現地の法律によって起訴される」
と、バンクシーはネット上で明らかにしています。
バンクシーの目的
英国委任統治下のパレスチナにユダヤ人居住地を建設することを支持する内容で、バルフォアは100年たった今でも、イスラエル人には称賛され、パレスチナ人には嫌悪される存在であり続けています。
バンクシーはホテル開業に当たり、「英国がパレスチナ統治を開始し、模様替えを始めて大混乱を引き起こしてから、ちょうど100年がたった」と指摘。
バルフォアと欧州連合（EU）離脱に触れながら、「英国が結果を十分に認識しないまま、大きな政治的決断をした時に何が起きるかを振り返る好機に思える」とのコメントしています。
ホテルはヨルダン川西岸の、イスラエル人もパレスチナ人も立ち入り可能な地区にあり、双方が会って話し合いのできる安全な場の提供を目指しています。
ホテルの目の前にあるエルサレムとベツレヘムの分断壁は、世界最大級のカンバスと化していて、政治的風刺を込めた数々の壁画で埋め尽くされているのだとか。
店舗概要
ホテル名 ：The Walled Off Hotel（ウォールド・オフ・ホテル）
住所 ：182 Caritas Street, Bethlehem, Palestine
TEL ：不明
オープン日 ：2017年3月11日
宿泊料金 ：一泊30ドル（約3400円）から
保証金 ：1000ドル（約11万円）を前払い
その他の施設 ：美術館と画材店が併設
ホームページ ：http://www.banksy.co.uk/bookings.html
最後に
このホテルの2室以外のアート作品を、バンクシー自らが手がけています。
イスラエルとパレスチナの分断について啓発するメッセージが盛り込まれていて、数百万ドルの値打ちのある作品を間近に目にすることができるのです。
こんなお得で素晴らしいチャンスは他にないと思います。