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システマティックな鶏の一生「私たちは今何を食べているのか?」

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システマティック、鶏の一生、私たち、今何を食べているのか
突然ですが「バタリーケージ飼育」という言葉をご存知ですか?

「バタリーケージ飼育」とは狭いケージに鶏を閉じ込めて卵を産ませる飼育法のことをいいます。

EUは2012年に鶏の「バタリーケージ飼育」を禁止しました。
同時に ”鶏をケージで飼育するのをやめる” という宣言が世界中の企業で広まっていて、加工食品に使われる卵も含め、国内で流通する卵の半数以上がケージフリーになった国も多数出てきています。
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アニマルウェルフェア(動物福祉)は、食の安全性を高め、社会の福祉にも役に立つと、国連食糧農業機関(FAO)や世界動物保健機関(OIE)、世界貿易機関(WTO)、アジアでも取り組みが広がっているのです。
出典: 現代ビジネス

しかし、日本は全く浸透しておらず、そのことすら知らない人が多いように感じます。

現在、日本人は1年に約329個の卵を食べていて、卵の他にも冷凍食品のお肉や、缶詰、チキンスープに形を変えて食卓に運ばれています。
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このような日本の鶏たちはどんな環境で飼育され、卵を産んでいるのかあなたは想像したことがありますか?
これからシェアする文章を読んで後でも、ストレスまみれの鶏肉や卵を食べたいと思うかどうか。

薬まみれの一生

まず鶏の寿命は大体10年ほどだと言われています。
採卵鶏の雛は生まれてすぐにあらゆる種類のワクチンが打たれます。
その数はなんと25種類。
詳しい種類はというと抗生物質や合成抗菌剤、2015年は16種類の抗生物質、合成抗菌剤が使用されていました。
普通鶏というのは砂浴びをすることで寄生虫を落しますが、それができないため月に一度、殺虫剤を体中に噴射されます。
これにより体が冷えたり、ショックで死んでしまう鶏もいるのだとか。
また、驚くことに殺虫剤がかかった卵を出荷する農家もあるため、私たちは卵の殻にも気をつけなければならないのです。

鶏の一番好きなこと

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鶏は砂浴びをしてダニや寄生虫、体についた汚れを落とします。
そして太陽の光を浴びることで殺菌され、自分の力で虫を取って食べ、ミネラルを含む土を食べるるのが日課。
何よりも太陽の下で砂浴びをする時間が鶏たちにとって至福の時間。
こうして太陽を浴び運動している鶏の骨は強い。
しかし、狭いケージのなかで飼育された鶏は、放牧の鶏と比べて骨の厚みが半分ほどしかないそうです。
※放牧=平飼い(屋内の地面に放して飼育する方法)

鶏にとっても拷問の日々

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本来夜は止まり木で眠る習性がありますが、バタリーケージの鶏たちは細い金網の上で眠ります。
狭くて鶏同士が重なり合った場所で身動きすらできない場所で。
2016年アニマルライツセンターが保護した鶏たちは、足を脱臼し、その周辺は腫れ上がり、内出血で青くなっていた。
さらには狭いケージの中で羽ばたこうとして羽を何度も何度も骨折している。
顔が腫れ上がったり、くちばしが割れてしまったりしている鶏もいる。
それでも、バタリーケージの鶏はひたすら耐えるしかないのです。

鶏は卵を産む機械じゃない

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本来年間20個程度しか卵を産まない鶏を、品種改変で300個も産むようにしてしまったことは人間の都合によるもの。
自分の体中からカルシウムを奪いながら卵を産み、もともとゲージなかで育った鶏は骨が弱いのに、さらに卵管も卵巣もぼろぼろ。
アニマルライツセンターの獣医師が150羽ほどの採卵鶏を解剖した結果、約9割は卵巣か卵管に疾患があったそう。
卵詰まりを起こしたり、卵巣嚢腫の状態になったり、卵管に腺がんがあった鶏もいたといいます。
ここまで読んだだけでもハッとならないですか。
卵を産むことでどれだけ体を痛めつけているか。
特に女性ならその辛さわかりますよね。

虐殺の他になんというか

そして最後は、意識のあるまま首を切られ、長く苦しんで死んでいく。
一部の心ある食鳥処理場は首を切る前に意識を失わせるが、それはごくわずか。
日本のこれらの工程の多くは「国際基準」にも「動物愛護管理法」にも違反しているがいまだ改善されないのが現状。

海外ではオーガニックが主流

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この飼育方法はあまりにも残酷だと消費者が声を上げ、欧米を中心に1960年代から議論が始まり、法律が作られ、市場が変わり、スーパーの棚が様変わりするに至った。
日本のスーパーには飼育方法が書かれていないバタリーケージの卵がほとんどで、平飼いの卵はごくわずか。
一方、欧米のスーパーはオーガニック卵、放牧卵が大半を占めています。
筆者の住んでいるバンコクでは半々くらいで、レジに並んでいるとほとんどの人がオーガニック卵を買っていきます。
韓国も鶏の飼育面積をEU基準に合わせ500㎠から750㎠まで広げると発表しています。
しかし、日本では畜産動物の状況がずっと隠されてきており、企業を含め市民の認知度や意識があまりに低いと実感しました。

あとがき

日本の大量生産、価格競争が鶏たちをを追い詰めているのは事実で、それを食い止めるにはやはり消費者が良い卵に適正な対価を支払らわないと何も変わらない気がします。
コーヒーやチョコレートのフェアトレード商品を買うのと一緒で、これからの時代アニマルウェルフェアに配慮するべきだと思います。
あなたは何を犠牲にして、何を口にしているのか、今一度考えてほしいです。

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