イスラエルとヨルダン、パレスチナのヨルダン川西岸に囲まれた塩湖の死海。
世界中から旅行者が集まる、中東の人気観光名所の一つです。
西側にイスラエル、東側をヨルダンに接し、湖面の海抜はマイナス418mと、地表で最も低い場所にあります。
歴史的に様々な名前で呼ばれていましたが、現在の英語名「The Dead Sea」はアラビア語名に由来しているんだとか。
死海の縮小
このアラビア半島北西部に位置する死海が、急速に縮小し続けているというニュースがあがっていました。
環境保護団体によれば、死海の水位は年間約1メートルのペースで縮小を続けています。
原因は主に人間の活動にあるといいます。
死海はヨルダン川など周囲の天然資源から流れ込む水で形成されていますが、1960年代ごろから死海の水源だった水が別の用途で使われるようになったというのです。
その一つにイスラエルでは、国内に水を供給するためのパイプラインがこの時代に建設されたことにあります。
化学肥料の原料となる炭酸カリウムのメーカーは、死海周辺の観光業界と水利を争っています。
また聖書時代の”ダビデ王の隠れ家”とされている死海の環境悪化を招いているのは、取水だけではありません。
死海に流れ込むヨルダン川でも農業用で取水されているため、浜辺では人身事故の危険性がある水たまりができています。
「フレンズ・オブ・アース」によると、死海の北部は50年前には75キロメートル、現在は55キロメートルにわたっています。
死海の塩分濃度が異常
死海の塩分濃度は34%前後、海よりも約10倍高いのです。
水位低下の影響で死海の濃度は濃くなる一方です。
イスラエルとヨルダンは昨年、死海の水位安定を目指す9億ドル(約990億円)のプロジェクトに調印しました。
紅海から死海につながる運河を建設し、水を両国に供給すると同時に死海へも送り込むという計画です。
3年後に完成する見通で、この計画が予定通りにうまくいくかどうかはまだ分からないんだとか。
しかし、死海は人気観光地として今日も世界中から観光客が詰めかけている現状です。
死海で水泳大会
死海はイスラエル最大の観光地で、昨年2015年は85万7000人が訪れている人気観光名所。
観光省によると、テルアビブやエイラトの海浜リゾ ートよりも多いという統計がでているんだとか。
今月には死海で水泳大会が行われました。
この水泳大会には世界中から約30人が参加ました。
コースはヨルダン側からイスラエル側へと約14キロを泳いで横断するというもの。
参加者は目と口を守るためにフェイスマスクを着けて臨んだが、それでも参加者の1人は「眼球が酸に焼かれるようだった」と振り返っていたそう。
最後に
筆者も中東の国ヨルダンは興味があり、一生に一度は行ってみたい場所の一つにはいっています。
死海も強みありますが、近くには温泉があり医療効果がある泥風呂や鉱泉が楽しめると西洋人にも人気があります。
このように数年後には人道的に、永遠に訪れることができなくなる貴重な場所がたくさんあるのだと思うととても切ないくなります。