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遠藤周作の宗教観とは?!「侍」が初めて目にする世界と、インドのバラナシが舞台の「深い河」を読んで感じたこと

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遠藤周作の宗教観、侍が見た世界、インドが舞台の深い河
今日はご紹介する本は、遠藤周作氏の「侍」と「深い河」です。

遠藤周作氏は様々な作品を通して実際の旅と、人生の旅路を結びつけています。

またこの「侍」と「深い河」は、遠藤周作氏の宗教観を表す作品でもあります。

遠藤周作
日本を代表する作家
1923年〜1996年
代表作品
「深い河」「沈黙」「海と毒薬」「イエスの生涯」「 キリストの誕生」「侍」

遠藤周作の宗教観、侍が見た世界、インドが舞台の深い河

侍(サムライ)

1980年に純文学書き下ろし作品として、新潮社より単行本が刊行され、1986年に新潮文庫版が刊行されました。
野間文芸賞受賞作にも選ばれました。
遠藤周作の宗教観、侍が見た世界、インドが舞台の深い河
■あらすじ
藩主の命によりローマ法王への親書を携えて、一人の「侍」とその仲間が海を渡りました。
野心的な宣教師ベラスコを案内人に、メキシコ、スペインと苦難の旅は続き、ローマでは、お役目達成のために受洗を迫られる。
七年に及ぶ旅、藩命を帯びて遠くヨーロッパに渡り、そこで聞かされたキリシタン禁制、鎖国となり藩に捨てられた侍たちの姿。
遠藤周作の宗教観、侍が見た世界、インドが舞台の深い河

深い川(ディープリバー)

「深い河」は、1993年に発表された遠藤周作氏の小説。
これを原作とした映画が、1995年公開されています。
遠藤周作の宗教観、侍が見た世界、インドが舞台の深い河
■あらすじ
成瀬美津子は満たされぬ心を埋める“何か"を求めて、 インドツアーに参加した。
観光客を乗せたバスは聖地ベナレスを目指し、大平原の中を疾走していきます。
あらゆる人間の哀しみや苦悩、死までも包み込んで流れる“深い河"に、いつしか自分自身が溶け込んでいくような安らぎを憶えていく様が描かれています。

最後に

この二作品は遠藤周作氏が、その生涯を通して追い続け、答えを求め続けた集大成だと思います。
「侍」は一身に使命を全うしようと自分の国を信じ続け、船で世界の航海に出ても、自分の信念を決して曲げようとしないところが、まさに日本の「侍」で、忠実さが伺えます。
しかし神の愛は万人に共通にそそがれるものであり、信仰のみが救済の手段であるということを訴えています。
「深い川」では、ガンジス河のように”どんな醜い人間も、どんな薄汚い人間も拒まず受け入れて流れるものこそ神である”という遠藤周作の宗教観が感じられます。
人は輪廻ではなく、転生によって永遠の生命が神によって与えられたもの、ということを遠藤周作氏は最後まで訴えたかったのではないでしょうか。

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