香港では、最近フランス人の人口が激増している。
ここ数年の中国の急成長にあやかろうと、香港に支社を出すフランス企業もここ数年で増えています。
フランス領事館の資料によると現在、香港在住のフランス人は2006年比60％増。
中国誌”財新週刊”によれば、その数は約2万5000人に達し、いまや欧州出身者の中でもふランス人は最多なんだとか。
経済が低迷し、さらに頻繁にテロが頻発するようになってしまった祖国に、多くのフランス人が見切りをつけ海外に脱出しているのです。
香港に限らず、東南アジアのタイにも多くのフランス人が住んでいて、バンコクのサトーンエリアはフランス人が多く住み、フランス語が飛び交っています。
今フランスで何が起きているのか？
フランスでは相次ぐテロのため、2015年11月から非常事態宣言が続いています。
フランスの人口の約10%がムスリムであり、彼らがイスラム過激派になる下地が形成されている。
マニュエル・ヴァルス首相も「フランスはテロリストとイスラム過激派との戦争に突入した」と演説しています。
それに加えフランスは、ギリシャショックに端を発したユーロ危機のときに、経済的には大きなダメージを受けました。
目指すは香港
では、なぜ彼らは香港を目指すのだろうか？
その理由の1つに、近年フランスと香港の貿易が活発化していることが挙げられます。
香港紙”サウス・チャイナ・モーニング・ポスト”によれば、現在フランスは中国にとって欧州第2の貿易相手国。
香港は特に税金が安く済み、輸出入の手続きも簡単なため、2008年のワインブームをきっかけに仏企業が急速に進出してきました。
総領事部によると、香港には現在800の仏企業があり、フランス人の求人も急激に増加しているそうです。
これらの企業の総収益は年間約142億ドル（約1兆4200億円）にものぼるんだとか。
香港のビザ
フランス人は香港で1年の就労が認められるワーキングホリデービザが取得できるのが大きなメリットになっているようです。
ワーキングホリデービザが効く間に、長く働ける仕事を探したり、独自で起業の準備を進めたりする人も多いと聞きます。
今や香港は外資系企業が非常に多く存在し、様々な国のビジネスマン達が街を闊歩しています。
米国紙「ウォールストリート・ジャーナル」によれば、香港在住のフランス人の平均所得は本国のそれより高く、かつ失業率は低いとも言われています。
香港のソーホー
香港に移住者が増えるにつれて、香港のフランス人コミュニティも拡大しています。
香港にも「ソーホー」と呼ばれる場所があり、欧米風のおしゃれなレストランやカフェ、 センスのいい雑貨屋さんなどが並んでいます。
新進デザイナーや個性的な雑貨のショップが立ち並び、道行く人々までとてもスタイリッシュなんだとか。
特に中西区の上環や南区の赤柱には、次々とフレンチレストランやカフェ、アートギャラリーがオープンしていて、フランス人も自国のように街の散策を楽しんでいます。
現地の人からは
パリジャンはパリにある中華街を見て「私たちの美しいパリが中国人にのっとられてしまった」と憤慨する人も少なからずいるよう。
確かにどこの国へ行ってもチャイナタウンをみかけるほど、適応能力が高く、また漢民族の人口も多いため、あっという間に中国のマーケットがそこにできあがってしまうのです。
香港に暮らすフランス人の大半は、母国語を話しながら、仏企業で働き、フランス料理を食べるという生活を送っています。
このように「自分を現地に適応させる必要がないのが、香港のいいところ」とフランス人移住者は口をそろえて言うんだとか。
またファミリーで移住する人、現地で出産する人も増え、仏系インターナショナルスクールの需要もうなぎのぼり。
2010年に比べて生徒数は3割も増加しているそう。
しかし、トラブルも増えていて、安易に起業しても倒産してしまって挙げ句の果てに夜逃げをしたり、家賃を踏み倒すフランス人の話も後を絶たないという。
これまで中東やアフリカの移民を激しく排斥してきたフランス人ですが、香港で自分がその立場になったとき、すんなり香港人に受け入れられるかは曖昧です。
最後に
度々勃発するテロ事件のお陰で、日本からの旅行者は急激に減り、さらに不景気に拍車がかかってしまったフランス・パリ。
香港での生活は、フランス人移住者たちにとって故郷パリよりも快適なようです。
切り替えが早く、新たな場所で自分らしい人生を送るのがパリジャンらしいで
すね。