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団地が舞台の不思議な7つの物語「思い出は満たされないまま」乾緑郎

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団地、不思議な7つの物語、思い出は満たされないまま、乾緑郎
今日ご紹介する本は、乾緑郎さんの「思い出は満たされないまま」です。
タイトル :思い出は満たされないまま
著者 :乾緑郎
出版社 : 集英社
出版日 :2017年7月20日
Kindle価格 :659円
ジャンル :文庫

乾緑郎(いぬい ろくろう)

1971年東京都出身。
日本の小説家、劇作家、鍼灸師。
2010年「忍び外伝」で朝日時代小説大賞、同年「完全なる首長竜の日」で”このミステリーがすごい!”大賞を受賞。
以来、時代小説、ミステリー、SFなど幅広い領域の書き手として注目されています。
ウィキペディア: 乾緑郎

内容紹介

団地、不思議な7つの物語、思い出は満たされないまま、乾緑郎
東京・多摩地区在住のフリーター・甲田には認知症の母がいる。
母の介護を口実に仕事を辞めたのに団地の自治会役員を押し付けられてしまう。
住民の自分勝手なクレームに翻弄される毎日。
心に迷いを抱えた人を誘い込む、古い神社の鎮守の森。
団地近くに住み着いたホームレスの男性。
過去を背負う頑固な孤立老人。
団地の植え込みの木の間を走って行く、親指ほどの大きさの、背中に蝶の翅が生えた小さな女の子。

マンモス団地に住み暮らす人々の日常と街の様相を描いた7つの連作短編集。

老朽化した団地を舞台にした連作で、複数の登場人物が何度か登場して、次第に交差していく構成はさすがです。
最終話で見事に結実する本題となるテーマは、派手さや伏線とは違うけれどまとまりの良さに圧巻です。
この一冊には理屈を超えて、感情を揺さぶるパワーがあって、購読後清々しい気持ちにさせてくれます。

あとがき

平凡に見える全ての人が何かしらの不思議な物語を心に秘めていて、地味だけどとても面白いです。
作品を読み終えた充足感も心地よいです。
注目の新鋭が紡ぐ、団地を巡る少し不思議で懐かしい物語は最近読んだ中でもおすすめです。

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