今日ご紹介する本は、宮下奈都さんの「スコーレNo.4」です。
真摯に誠実に生きようとする主人公の恋や進路、仕事に向き合っていく様が、心にひたひたと染み透る作品です。
タイトル :スコーレNo.4
著者 :宮下奈都
出版社 :光文社
出版日 :2009年11月10日
価格 :617円
ジャンル :文庫
宮下奈都(みやした なつ)
1967年、福井県生まれ。
上智大学文学部哲学科卒業。
2004年、3人目の子供を妊娠中に執筆した「静かな雨」が第98回文學界新人賞佳作に入選し、小説家デビュー。
2010年、「よろこびの歌」が第26回坪田譲治文学賞の候補となる。
(ウィキペディアより)
あらすじ
自由奔放な妹・七葉に比べて自分は平凡だと思っている女の子・津川麻子。
少女から大人へと変わってゆく主人公の成長過程を4つのスコーレ(学校)に切り分けての描写されています。
そして、彼女が遅まきながらやっと気づいた自分のいちばん大切なものとは。
ひとりの女性が悩み苦しみながらも成長する姿を淡く切なく美しく描きあげた傑作。
主人公の仕事に対する姿勢、過去の努力から導かれる成功、それに慢心せずに地味な努力を続け、幸せな出会いが待っている。
登場人物は自然な繋がりで主人公を取り巻いています。
さりげない会話、周囲の暖かい目線がじんわりと胸に染み入る小説です。
最後に
特別劇的な出来事はありませんが、誰もが通ってきた様な日常の時間の流れの中、その繊細で感受性に溢れた文体に、感情表現の描写の優しさと痛切さがとにかく素晴らしいです。
学生さんから社会人まで広い人に読んでもらいたい小説です。