この本は家族と、その家族に関わる人の視線からみた、偽りの家族の風景です。
一人一人の生活から本当の家族の姿が徐々にみえてきて、先を読み急ぎたくなります。
タイトル:空中庭園
著者:角田光代
出版社:文春文庫
出版日:2005年7月8日
価格:551円
ジャンル:小説
角田光代(かくた みつよ)
1967年神奈川県横浜市生まれ。
日本の作家、小説家、翻訳家。
大学を卒業して1年後の1990年、「幸福な遊戯」で第9回海燕新人文学賞を受賞。
1996年に「まどろむ夜のUFO」で野間文芸新人賞を受賞したほか、数度芥川賞の候補に挙がっている。
あらすじ
郊外のダンチで暮らす一見明るく平穏な京橋家のモットーは「何ごともつつみかくさず」ということ。
しかし、本当は家族みんなが秘密を秘めています。
一人一人が閉ざす透明なドアから見た風景を描く連作家族小説。
娘、父、母、祖母、父の愛人、息子、それぞれの視点から語られる家族は少し歪んでいて、それぞれにストーリー性が強いです。
家族団欒の時間だけは、まるで与えられた役柄を演じるかのように、幸せで理想的な家族を偽っているのです。
今までありそうでなかった内容と、読者を引き込む書き方が上手で、角田さんは様々なジャンルを書いていて読み飽きないのが特長です。
「空中庭園」は色々な事情がある家族のほんの一部の例に過ぎないのかもしれません。
最後に
角田さんが書いたこの「空中庭園」は現実にあったら怖いけど、実はリアルな家族像なのではないかと途中から感じました。
家族であっても全てを包み隠さず生活している人の方が珍しい気がします。